バオバブ

サン・テグジュペリの童話『星の王子さま』の中で、星を破壊する巨木として書かれているのがバオバブです。
アフリカのサバンナに生える植物で、高さは20m、幹の直径は10mに達しトックリ状に肥大することから『悪魔が大木を引き抜いて、逆さまに突っ込んだ』と形容される独特の樹形を示します。この幹は柔らかく、多量の水分を蓄えることができ、乾季には葉を落として休眠します。
中央植物園のバオバブは1997年に熱帯果樹温室に導入されたもので、搬入時に、予想外の重さで台車を2台つぶしてしまいました。現在は最も太いところで直径1mに達し、国内でも最大級ですが、バオバブとしてはまだまだ子供です。
  『星の王子さま』では恐ろしい木とされていますが、アフリカでは捨てるところがない『宝の木』で、若葉は野菜として、果実や種子も食用として、また樹皮は薬やロープの原料として利用されています。
  バオバブの花は、国内では沖縄で1998年に初めて開花しました。富山では、2007年に初めて開花し、それ以来毎年花が見られます。蕾は球形で、夕方から夜にかけて短時間で開花し、ブラシ状の雄しべが目立つ面白い形になります。翌日の夕方には変色してしまいますので、わずか1日しか見ることができません。今、植物園のバオバブには、蕾が4つ着いていますので、運が良ければ花をごらんいただくことができます。

 

熱帯果樹室のバオバブ
バオバブの花
富山県中央植物園企画情報課

中田政司