研究紹介


琉球列島の植物相の特徴
兼本 正 
 琉球列島は、九州南端から台湾の東北端に至る800kmの間に点在する、三弧状に連なる100以上の島々からなります。常夏のリゾート地としてのイメージが強い地域でもあります。  琉球列島は周知の通り温暖な地域であり、年平均気温は22.4℃で、夏の暑さは西南日本と変わりませんが、冬の気温が9〜11℃と暖かいのが特徴です。また、年間の降水量は2,128mmと多く、植物の生育にとって好都合な環境となっています。  琉球列島の島々は広い海で隔てられ、生物の交流が制限される閉鎖的な環境にあります。各島は、成立年代、外形、面積、地形、生物相などにそれぞれ特色を有しています。植物相を構成する種には、大陸と共通なものをはじめ、本地域を北限とする熱帯・亜熱帯系植物、南限とする暖温帯系植物などの種群を含み、また多くの固有種が認められています。面積あたりの種数は極めて多く、日本本土と比較すると約45倍にのぼります。 このように、本地域は生物の研究をする上で重要な地域であるといえます。 富山県中央植物園では、ダム建設や林道建設により自生地が失われると予想される地域から採集された琉球列島産植物約300種を栽培しています。その中には、すでに絶滅してしまった種や、絶滅危惧種も含まれています。  これらの植物を系統保存し、増殖を行ない、後世への遺伝子資源の保全を進めるとともに、富山県をはじめとする本土の植物との比較を含めた、分類学的な研究を行なっていこうと考えています。
カンピラの滝とランダイミズ