研究紹介


立山室堂平におけるライチョウの棲息地の植生
技師 吉田めぐみ 
 ライチョウは本州の北アルプス、南アルプス、頚城山系に棲息しており、その総数は3000羽と推定されています。このうち、立山一帯では特に棲息数が多く、1996年には334羽の棲息が確認されています。立山室堂平では1972年よりライチョウの観察・調査が行われており、ライチョウがその生活史の各時期に利用する場所はほぼわかってきていますが、ライチョウが利用している植物群落の詳細については、これまであまり調査が行われてきませんでした。そこでこれらの群落を明らかにするため、植生調査を行いました。
●冬期にライチョウが利用している地点の埴生
 2000年3月に行われた富山雷鳥研究会の冬期雷鳥生態調査において、丸山の北西斜面と、油尾根の2ケ所でライチョウが餌を食べているのが観察されました。冬期室堂平のほとんどの地点は6〜7mの多量の積雪に覆われていますが、丸山や油尾根のような北西に面した数地点では、北西の季節風に強くさらされ、積雪が少なく、植生が露出することが多くなっています。この2地点で2000年8月に植生調査を行った結果、丸山調査区はコケモモーハイマツ群集典型亜群集、油尾根調査区はコケモモーハイマツ群集マキバエイランタイ亜群集と識別されました。
●夏期にライチョウが利用している地点の植生
 7月中旬から9月にかけての育雛期にライチョウの親子がしばしば観察される丸乗谷において9ケ所の調査区をとり、植生調査を行いました。その結果イワイチョウーショウジョウスゲ群集、エゾホソイ群集、コツガザクラ群集と雪田およびその周囲に発達する群集と、タテヤマアザミ−ホソバトリカブト群集と亜高山広葉草原の群集が識別されました。
 以上のことより冬期にはコケモモーハイマツ群集、夏期の育雛期にはイワイチョウーショウジョウスゲ群集やタテヤマアザミーホソバトリカブト群集等を利用していることが明らかになりました。今後さらに調査を進め、ライチョウがその生活史全般にわたって利用している植生を明らかにしていきたいと考えています。