ニュース

ダーウィンのラン2年ぶりに開花

ダーウィンのランと呼ばれる「アングレカム・セスキぺダレ」が2年ぶりに開花しました。

 

アングレカム・セスキペダレAngraecum sesquipedale Thouarsは、マダガスカル島の低地森林に生育します。茎は直立し、強靭な葉を、密に2列つけ、香りのある白色の大きな花を1~5個つけます。

花は15cm前後の大きさで、光沢があり全体に星形をしています。

一番の特徴は、非常に長い30cmほどの距を持つことです。

 

 

そのランの距に興味を示したのが、イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィン(1809-1882)です。

ダーウィンは1862年に出版したランの受粉に関する著書で、アングレカム・セスキペダレの受粉時には「10~11インチ(約30センチ)の長い口吻をもつ蛾(送粉者)がいなければならない!」と仮説を立てました。

つまり、ランは花蜜を求めるガの頭部へ確実に花粉をつけようとその距を長くし、ガは花蜜に届くように口吻を長くする。どちらも世代をこえながら、相手の変化に応じて、少しずつ形が変化していくと考えたことから、ダーウィンは共進化の概念を導き出しました。

 

そして、ダーウィンの仮説から41年後、1903年に長さ20cm以上の口吻をもつ蛾がついに発見され、キサントパンスズメガXanthopan morganiiと名付けられたのです。

 

アングレカム・セスキペダレは、ダーウィンが導き出した『共進化』の概念が生まれるきっかけとなりました。多種多様な植物の形をよく眺め、生物の進化に想いをはせれば、植物観察がさらに興味深くなるかもしれません。

 

ぜひ、国内最大級のアングレカム・セスキぺダレをラン温室でご覧ください。