マスコミリリース

植物園リーフレット表紙の植物を令和にちなんだ植物に更新

新元号「令和」の考案もととなった万葉集の「梅花の歌」の序文は

時に、初春(しょしゅん)の令(れい)月(げつ)にして、気淑(よ)く風(かぜ)和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す。

(意味)

時は、初春の令(よ)い月であり、空気は美しく、風は和(なご)やかで、梅は鏡の前の美人が白粉(おしろい)で装うように花咲き、は身を飾る衣(ころも)に纏(まと)う香(こう)のように薫(かお)らせる。

というものです。

 

この文の詠まれた季節は、梅の花が咲く初春で、いわゆる蘭の花は咲いていません。東洋蘭の代表であるシュンラン(春蘭)の花は4月、カンラン(寒蘭)の花は10月に咲きます。

この文で詠まれている「蘭」は、「匂い袋入れて、腰の帯などに付けていた香りを発するもの」と解釈できます。当時、匂い袋に入れられていた植物は、「フジバカマ」と考えられ、牧野富太郎が書いた「日本植物図鑑」では、『中国ではよい香りがするため、フジバカマを携行したり、お風呂の芳香剤としても使われる。また、頭を洗う時にも使ったりするので、「香草」とか「香水蘭」という別名がある。』と記載されています。

このことから、「梅花の歌」に詠まれた「蘭」は「フジバカマ」と考えられ、新元号「令和」由来の植物として、植物園リーフレットの表紙として採用しました。

 

 

フジバカマ キク科 

河川の氾濫原の湿った草地に生える多年草で、しばしば観賞用に栽培される。

花は、淡紫色か淡紅紫色の小花が散房状に密に集まって、8-9月に咲く。

秋の七草の一つ。

乾燥するとその茎や葉から桜餅の葉のような芳香を放つ。

河原の開発のため、野生のものは減少しており、準絶滅危惧種に指定されている。

 

令和元年6月19日

富山県中央植物園

企画情報課 村家

電話 076-466-4187

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